世界の備忘録

歴史上の忘れたくない事件などをまとめていくブログです。

備忘録その50 香港でのデモ

香港で行われているデモで、デモ隊に向かって催涙弾やゴム弾が撃ったり、警棒?のようなもので殴られたりしているようで、映像を見る度ぞっとします。
 
公式な発表ではデモ隊の一部に過激な動きがみられたとのことなのですが…ツイッターでの情報を見るとそれだけではないようですしにしても度が過ぎてますし…
#加油香港などで検索すると悲痛な声がたくさん上がっています。 
 
 
今日はなぜ香港でデモが起こっているか、ということと私が感じたことを書いてみたいと思います。
 
 
デモの背景
今回のデモの直接的なきっかけとなったのは、「逃亡犯条例」の改正が検討され始めたことでした。
逃亡犯条例は他国で犯罪を犯し、香港に逃げて来た人々をその犯罪が起きた国に引き渡すというようなことが決められた条例です。
 
元々香港は米英韓など二十の国と引き渡し条約を結んでいますが、台湾や中国とは結んでいませんでした。
 
 
実際に起きた「台湾で恋人を殺害した香港の人が逮捕される前に香港に戻って来て、別件で逮捕されたのちに殺人を自白した」という事件で、台湾と香港は犯罪者を引き渡す条約が結ばれていなかったため、香港側がこの条例を改正しようとした、とのことですがこれが本音か建て前かはわかりません。
少なくともこれだけではない感じはします。
 
そもそも台湾が引き渡さなくていいと拒否しているようなので。
 
 
改正されると、引き渡し可能な国が増えるだけではなく、中国が追加されることで、中国本土からの要請で香港にやって来た犯罪者の引き渡しができるようになります。
 
 
改正されると何が問題なのか?
香港で維持されてきた一国二制度の崩壊もそうですが、香港で活動を続ける民主化活動家や、人権弁護士など、中国当局の都合の悪い人物の引き渡しを要求される可能性も十分にあるからです。
 
中国では裁判所にも共産党組織があるため、こういった人々への拷問や他国では考えられないような厳罰もありえるのです。
もちろん今回のような政府の政策に反対するデモだって、参加する勇気がなくなる人も出てくるかも…
 
 
もっとも、この条例は宗教的・政治的な罪に関わる容疑者は適用外だそうです。
でも、今だって(どの国にもあることですが)ジャーナリストや活動家が急にいなくなるとか、拘束されたままどこかに消えるとか、疑惑だらけの突然死を遂げるなんてこともありますし、本気出せば政府が一人の人間の粗を探して、引き渡しをさせることだってないとは言い切れない。
 
 
一応香港政府としては審議を延期するようですが、どうなるやら…完全に改正撤回!とはなりそうにない気がするのですが…
 
 
ちなみに日本でも、犯罪を犯した外国人が日本に逃亡してきたり、逆に日本人が外国で犯罪を犯してから日本に逃げて来た際にその犯罪者を引き渡す条約をアメリカ、韓国と結んでいます。
 
二国ということでずいぶん少なく感じますが、島国ということで逃亡してきたりする人が少ないということや、死刑制度があるから条約を結ばないという理由があるみたいですね…
こういう条約がないから中国で日本人の麻薬密売人などが死刑になったりしてたんですね。
 
 
連日デモやストライキなど、大変なことになっている香港ですが、言論の自由や人権はが脅かされるというのは現代に生きてる身としては他人事ではないですし、一般市民にとって良い結果が出るよう、何もできませんが遠くから応援していようと思います。
どうか過去の数えきれないデモのように、無抵抗な人を発砲したり投獄したり…なんてことないよう祈っていますが…もう遅いのかな。
 
香港に住む人口740万のうち100万人がデモに参加してますからね…740万にはもちろん子供やお年寄りなども含まれているのでとんでもない規模のデモですね。
 
 
にしても、文化もあると思いますが日本でこういった大きな動きがあった時、ここまで人集まるのかな…なんてふと思いました。
そして武力での弾圧に対して、早く各国から非難の声明とか上がるべきだと思うのですが…公式発表が「暴動」だからあまり動けないんでしょうか…?
なんだかもどかしいです。
 
 
参考にしたもの
高橋史弥『「香港が想像できない場所になる」”民主の女神”が訴えた、逃亡犯条例の危険性』ハフィントンポスト、6月12日
Greg Trode『香港大規模デモ、問題の「引き渡し条例」とは何か?』ニューズウィーク、6月12日(翻訳版)