世界の備忘録

歴史上の忘れたくない事件などをまとめていくブログです。

備忘録その51 勘違い騎士道事件って?

最近は窓の外に見えるモデルハウスの解体現場の作業を見るのが日課になっています。
意外と時間をかけて少しずつ解体していってます。
お怪我ないようにお願いします。
 
 
さて、今日はちょっと箸休め…ってほどでもないですが、日本で起きた事件についてです。
 
 
その名も「勘違い騎士道事件」
1981年に起きた傷害致死事件です。
 
 
ある男性Aと酩酊した女性が路上にいたのですが、空手三段のイギリス人男性(日本語があまりできない)が、女性が尻もちをついたのを見て近付きました。
彼女が冗談で「ヘルプミー」などと言ったため、一緒にいた男性Aに暴行されていると思い、二人の間に入って男性に手を伸ばします。
ここで男性Aはイギリス人男性が襲い掛かってくると思い、両手を胸の前に出します。
 
これを見たイギリス人男性は男性Aがボクシングのポーズを取ったと思い、自己防衛と女性を守るために回し蹴りをします。
その結果、男性Aは転倒、頭蓋骨骨折の重傷を負い、その後死亡したという事件です。
 
 
結局この事件は、「誤想=勘違い」を前提とするなら正当防衛ということで一審無罪、二審ではそれでも防衛方法が過剰だったとして「誤想過剰防衛」として傷害致死罪が適用されるとされました(しかしこれも減刑対象)。
 
 
当時どう報道されていたのかはわからないのですが…
まず名前のインパクトが強いですね。
 
よく考えると「騎士道精神」を「勘違い」したような名前ですが(イントネーションによる?)、実際は「騎士道精神」を発揮する場を「勘違い」して間違えた、ということですかね…屁理屈っぽいですね。
 
 
あと、誰が悪いんだろう? と考えたのですが、やはり空手三段の人がまだ殴りかかられてもいない段階で回し蹴りをしたのはまずかったんじゃないか…と思いますね。
第二審の判断も「頭に回し蹴り」は故意であるという判断で過剰防衛という判決が出たようです(宗岡嗣郎2007)
ただ、酩酊状態で倒れて「ヘルプミー」と言った女性も女性ですね…酩酊状態だから責められないというのもちょっと違う気がします。
 
 
 
キリスト教の「騎士道」に則った行為だったとありますが、これは被告がイギリス人だからつけられた名前であって、喧嘩の仲裁に入ってかえって喧嘩になるというのは日本人同士でも十分起こりえるものだと思います。
 
 
最近は喧嘩が起きても人が倒れても、写真を撮っているだけだったり、関わらないように足早に逃げるということも問題視されたりしていますが、このイギリス人男性の最初の一歩は勇気ある行動だったと思います。それがこんな結末を迎えてしまうとは、残念だな…と感じました。
 
 
参考にしたもの
宗岡嗣郎(2007)、誤想過剰防衛に関する一考察―「勘違い騎士道事件」に即して―、久留米大学法学会