世界の備忘録

歴史上の忘れたくない事件などをまとめていくブログです。

備忘録その48 ホロコーストの陰に隠れたドイツ人虐殺事件

私が戦争や歴史上の事件に興味を持つきっかけになったのがホロコーストについて知ったことということもあって、なんだかんだ記事もホロコーストや独ソ戦関連が多い気がするのですが…
 
今日もドイツ関連の事件です。
 
 
1945年5月、ドイツの無条件降伏直前のプラハでドイツ人の虐殺は始まりました。
このプラハだけでも一万人以上の被害者がいると言われています。
 
また、1945年7月31日には、チェコの北部にあるウースチー・ナド・ラベムという街にあったドイツ軍の弾薬庫で爆発が起きます。
これをナチスの暴動と解釈した市民は、怒りをドイツ人住民に向け、虐殺が行われます。
被害者は300人~700人とされていて、中には子供も含まれていました。
 
また、生き残った人々もほぼ全員がここを追放されることになります。
 
 
背景には1945年に入ってチェコスロバキアではドイツ人に協力した人や企業の財産を没収するなどドイツ人追放の方向に向かっていたというのがありました。
 
 
ホロコーストが大きすぎてなかなかドイツ側の被害について言及されることって少ない気がするのですが…。
一般市民が犠牲になったという点では伝えていく必要はあると思います。
 
特にチェコのドイツ人は中世頃から住んでいた人が多く、特に悪事を働いていたわけでもありません。
戦闘真っただ中でもこういったことは非難されるべきですが、降伏後にこんなことが起こるというのはなんとも姑息という気もしますね…
 
 
共産主義の崩壊後にこういった事件についても再度検討されるようになって、チェコのハベル前大統領は1992年にドイツのコール前首相に国民が行ったことは度が過ぎていたと述べたそうです。
 
一つの都市で一万人以上…すごい数です。
戦争が人の理性を狂わすというところをしっかり覚えておきたいところです。
 
 
参考にしたもの
森下嘉之(2012)、チェコスロヴァキア第三共和国(1945-1948)期における社会政策の変容、『スラヴ研究』59号