世界の備忘録

歴史上の忘れたくない事件などをまとめていくブログです。

備忘録その19 飲酒運転の末路~東名高速飲酒運転事故~

交通事故、と聞いて今でも真っ先に思い浮かぶ事故があります。
 
1999年の11月に起きた、東名高速飲酒運転事故です。
 
連日大々的にニュースで報道されていたからというのもありますし、幼い子供二人が後部座席に取り残されて焼死するという悲しすぎる犠牲を出したというのもあります。
また、その後法律の改正のために記者会見やインタビューで涙ながらに力強く訴えていた二人の女の子のお母さんの姿も目に焼き付いていました。
 
どんな事故だったかと言うと…
午後15時頃、東名高速の東京ICで料金所通過後に家族四人が乗った乗用車に飲酒した運転手が乗った12トントラックが後ろから追突し、乗用車が炎上、運転席と助手席にいた夫婦は怪我を負いながらも脱出できましたが、後部座席に乗った1歳と3歳の女の子が焼死した…という事故でした。
 
両親はこの時、幼い娘たちの最後の悲鳴まで聞いています。
 
 
この事件は、この後の裁判をめぐっても注目を集めます。
この当時の法律では、業務上過失致死傷罪を適用するしかなく、懲役は最高でも5年だったのです。
この時のトラックの運転手は証言によると真っすぐ歩けないほど酒を飲んでいました(アルコール中毒だったということです)。
それなのに、休憩を促した料金所の職員の言うことに「風邪薬を飲んだだけ」などと言い(これも問題だけど)、休憩を取りませんでした。
 
 
書いていても怒りがこみあげますが、それでも彼は法の下に裁かれ、懲役四年となりました。
その後損害賠償を求める民事訴訟を起こし、女の子たちが18歳になる年から賠償金を支払うという判決が出て、2015年から支払われているそうです。
 
そしてこの事件や他の交通事故の被害者・遺族らが立ち上がり、署名運動などが行われ、2001年に危険運転致死傷罪(最高懲役15年)が新設されました。
 
 
この女の子たちのご家族や法新設のために活動してきた方々の絶え間ない努力には頭が上がりません。
その後このご家族は受け取った賠償金を交通事故で苦しむ人のために寄付されているということで、なおさらすごい方々だな、と思います。
 
でも、法律は起きてしまった後に初めて効力を発するものであって、飲酒運転や、最近話題になってたあおり運転などの危険運転による事故は今でもなくなっていません。完全にゼロになることはありえるのでしょうか。私は悲観的です。
 
 
この事故は免許を取る際の教本にも載っていますし、私も教習所で事故のビデオを見た記憶はありますが、どうすればそれらをより多くの人により深く、自分の体験になりうるもだと伝え、その記憶を維持してもらえるのでしょうか。
定期的にこういった事故を振り返るほか、今はないような気がします。
 
事故を再現した番組を貼っておきます。