つい最近安田純平さんが無事帰国したことでジャーナリストや戦争カメラマンの自己責任問題で湧いていたのは記憶に新しいですが、だいぶ前から実際戦場に行ったり、新聞や雑誌で果敢に政治批判を繰り広げるジャーナリストやカメラマンの活動に興味がありました。
興味があるというのは私もなりたい!ということではなく、「どういう覚悟でやっているんだろう、すごい人たちだな」というものでした。
ジャーナリストの方々はしばしば大きな敵の標的になることがあります。
安田さんのようにテロリストに捕えられる(もしくは戦時中なら敵国)こともあれば、中には自国の政府などから攻撃を受ける人もいます。今日は自国から目をつけられてしまった(かもしれない?)ジャーナリストの中から二つの事件について書きたいと思います。
サウジアラビア人記者・カショギ氏事件
最近だとサウジアラビアのジャーナリスト・カショギ氏の事件がよくニュースになっていました。
(画像お借りしています)
トルコのサウジアラビア領事館にカショギ氏が入っていく姿をとらえた防犯カメラの映像が毎日のようにニュースで流れており、私も家族とニュースを観ながら「こわっ」と思っていたのですが…
実際カショギ氏がどういう活動をしたのかはニュースではさらっとしか言っていませんでした。
調べればすぐに出てくることですが、https://www.huffingtonpost.jp/2018/10/20/jamal-khashoggi_a_23567025/などの記事によると、カショギ氏はサウジの言論弾圧やイエメンの紛争に軍事介入したことを批判していました。
それがサウジにとって投資などの面で損になると考え、カショギ氏を暗殺したということです。
それ以前からサウジでは人権活動家を捕まえて拷問するなどのムハンマド王子による独裁的な動きも見られていたらしいので、殺害する意図があったにせよ拉致に失敗し殺害してしまったにせよ、概ね黒幕は王子(王族?)と見て間違いなさそうですが…
ただこの殺害事件でサウジアラビアへの批判が高まることは簡単に予想できたはずなのに…という疑問は残りますが。予想はできても、なんとかもみ消せば…ということだったのでしょうか。
ロシアのアンナ・ポリトコフスカヤ(1958~2006)の暗殺
以前ベスラン学校占拠事件についてブログを書いたのですが、それにまつわる人物です。
カショギ氏もそうですが、黒幕が確定しているわけではないのですが…何か大きな力が動いていることだけは確かだという見方が強い事件です。
(これもお借りしています)
彼女はロシアのタブロイド紙であるノーヴァヤ・ガゼータの評論員で、紛争中のチェチェンに行って取材したり、プーチンを批判する著書『Putin’s Russia』を書くなどの活動をしていました。国際的な賞を受賞したりしているジャーナリストです。
そんな彼女は、2006年にアパートのエレベーターで射殺されます。実行犯はチェチェン人二名でしたが、命令を出していたのはモスクワ警察の元警視であると2011年に判明します。
さらにこの元警視に命令した黒幕がいるとされていますが、また判明していません。
一般国民からは人気のプーチンを批判することで、彼女自身の国内での評判はあまりよくなかったと言います。ただ、チェチェンの取材を続けていたこと、彼女自身もロシア人として現代のロシア社会に責任があると自省していることなどから、やはり勇気あるジャーナリストだったと思います。
『Putin’s Russia』は引用されているほんの一部しか読めていませんが、取材を続けていた彼女だからこそ、政府を敵に回すことの怖さはわかっていたはずです。それでも伝えなきゃいけないという使命感は尊敬に値するものだと思います。
カショギ氏最後のコラムは「アラブ世界に言論の自由を」と訴えるものだったそうです(https://courrier.jp/news/archives/140344/)
こんな事件が起きた後、自由ってなんだろうと考えると途方もないですが、それでも使命感、責任感を持って発信しているジャーナリストや新聞記者に危害がないといいんだけどなぁとしみじみ思いました。
(狙われるほど影響力もあるということなんですよね…難しい。)