世界の備忘録

歴史上の忘れたくない事件などをまとめていくブログです。

備忘録その16 白バラ抵抗運動

以前ベトナム戦争中に抗議の焼身自殺を行ったティック・クアン・ドック僧侶について書きましたが、今回も反体制運動の末の犠牲についてです(僧侶とはだいぶ状況が違いますが)。
割と有名な事件ですかね?
 
 
第二次大戦中のドイツにて起こった白バラ抗議運動です。
 
第二次大戦中、ドイツというキーワードでもなんとなくわかるくらいこの時のドイツはナチスの厳しい統治にあったわけですが…
1942年から1943年に反ナチスを掲げた、ミュンヘン大学の学生グループが6種類のビラを作成して配ります。
 

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ショル兄妹記念広場にあるビラをモチーフにした記念碑


その学生グループは結局ゲシュタポに捕まり、首謀者のハンス・ショルほか五名がギロチンで処刑されます。
 
この事件をもとにした多くの映画などもあり、勇敢な青年たちだったと評価されています。
 
私がこの事件について知った時、一番印象に残ったのは、ハンス・ショルとの生い立ちでした。
 
ミュンヘン大学の学生ということで恵まれた階級ということは予想がついたのですが、彼は一度家の方針でヒトラーユーゲント(ナチス党の青年組織)に入っています。
しかし彼は当時禁止されていた本も読み続けたり、ジプシーの歌を歌うなどの行為を行っており、一度逮捕されます。
また、東部戦線にも参加しており、こういった活動の中でナチスのやり方や、ロシアでのドイツ軍の行動に辟易したと言われています。
同じく白バラ運動のメンバーであるアレクサンダー・シュモレルとは東部戦線で出会い、白バラ運動を立ち上げるきっかけとなりました。
 
ビラを配るという行為自体もすごいですが、虐げられていた側でもないし、ただ単に傍観していたわけでもなく、自分の体験を元にして自分の意見を確立させ、行動に移している姿勢は、当時の時代背景などを考えると本当にすごいことだと思います。
 
この時代、疑問を抱くことはできてもそれを表現することは至難の業だったと思うので。
 
 
結局兄妹共に処刑されてしまい、ナチスはその後もしばらく統治を続けているので、白バラの抵抗が実を結んだとは言えないのですが、それでもどれだけ大きな勢力の前でも疑問を抱くことを忘れない姿勢は、語り継がれるべきだなと思いました。
 
もしも自分なら…この兄妹や他のメンバーのようにできたか?
できないと思います。
でもこういう人たちのことを知ると、世の中の動きに対してもう少し鋭い目で見てみようという意識は生まれる気がします。
 
 
数々のドキュメンタリーや小説があることは知っているのですが、なんとなく手が出せずにいるので、読んでみたいと思います。
 
ちょっと短いですが、今日はここまで…