世界の備忘録

歴史上の忘れたくない事件などをまとめていくブログです。

備忘録その27 学校での銃乱射事件について考えてみる

今日はアメリカでちょくちょく起こっている銃乱射事件について考えてみたいと思います。
 
 
日本から銃乱射事件を眺めるとどうしても「銃社会だから~」とか「銃の規制しないの?」とかそういった視点になりがちだと思います。
ただ本当に銃社会とか規制とかそれだけの問題なのか? 犯人に共通点はあるのか? 研究者はどう見ているんだろう? と色々気になったので調べてみました。
 
今回は銃乱射事件のうち主に若い世代が起こした学校での銃乱射事件を中心にしています。
 
 
まず、犯人の共通点ですが…(越智2003を再構成)
①変わり者とされている人や孤立している人が多い
②同世代を襲う(自分の通う高校や、卒業して間もない高校などを襲うということです)
③事件以前から銃などの武器に興味がある場合が多い。
④校内暴力は不良やギャングが起こすことが多いが、銃乱射事件はそれに限らない。
⑤家庭環境(ネグレクトや虐待など)は関係ない。
⑥ナルシストであったり、フラストレーションに対する耐性がない
 
などが挙げられています。2003年の研究の時点では加害者が白人のみとなっていたのですが、2007年にバージニア工科大学で起こった乱射事件は韓国籍の男性が犯人だったのでこの項目は私の判断で除外しました。
また、犯人はゲームに親しんでいるという項目もあったのですが、現在アメリカでは成人男性の65%がゲームを日常的な趣味としている(Game Sparkさんの記事より)という調査結果もあるくらいなので、これも犯人=ゲームと結び付けるのは2019年現在とは合わないかなという感じがします。
 
 
また、犯行の動機について
①ゲームの影響
②民主的な教育(厳しく叱ったりではなく、友達のように接して意見を尊重する教育)
③銃の手に入れやすさ
を挙げているのですが
 
結論から言うとこの三つについても影響はあるにしてもこれ!といった動機にはならないそうです。
私は③は結構な影響があると思っているんですが、だからといって銃規制を強めたら乱射事件の発生率が顕著に下がるのかは不明、ということなんですね。
 
 
うーん。こういう研究も難しそうだなぁ。
 
今回手に入れることができた資料からは結局明確な原因などは解明できない、ということだったのですが、最新の研究ではどうなのか、気になるところです。
(ただ、これは単なる予想ですが、犯人のバックグラウンドもどんどん多様化していそうですし、カテゴライズするのが難しくなりそうな…気がします。)
 
とにかく無差別の銃乱射、そして安全だと信じて日常的に通っている学校でこんな事件が起きるのはとても悲しいし、多くの学生に体だけではなく心の傷も残すことになると思います。
 
 
越智(2003)にあるように犯人は事前に犯行計画などを周りに話したり、いつもよりも孤立した状況を保とうとするなど、事件を起こす兆候にも共通点があるようです。
こういった共通点を周知して、日ごろから周りが気を付けられれば…とも思いますがそれもまた難しいから絶えずこういった事件が起きるんですよね…
 
 
参考にしたもの
越智啓太(2003)、アメリカの学校における銃乱射事件の分析、東京家政大学臨床相談センター紀要3集