世界の備忘録

歴史上の忘れたくない事件などをまとめていくブログです。

備忘録その5  保導連盟事件

こんにちは。

元号やら新紙幣やら道路(?)やら…ざわついていますね。読みたいニュースがいっぱいで忙しいです。

 

さて今日は朝鮮戦争中の韓国での出来事についてです。

朝鮮戦争は1950年6月に北朝鮮ロシアや中国の支援を受けてが韓国との軍事境界線を越えて攻撃してきたことをきっかけに約3年間激闘が続き今でも休戦状態の内戦です。

 

 

保導連盟って?

1950年、韓国で軍や大統領である李承晩によって設立された組織で、共産党員から転向した人や共産主義者として処罰を受けないように共産党員の家族らに加盟を勧めたもの。

 

しかし、この李承晩大統領は1950年6月25日に朝鮮戦争がはじまり、北朝鮮の勢力が押し寄せると南方に逃げること

 

になるのですが、そこで疑問を抱くようになります。

北朝鮮によって占領されていく地域で、保導連盟の会員たちが北側に協力するんじゃないか、と。

 

そしてまだ占領されていない地域の保導連盟の会員たちを憲兵や陸軍特務隊の手で虐殺させます。

 

この事件は韓国内でタブー視され、ずっとフタをし続けていた問題だったのですが、長い年月が経ってようやく当時の憲兵などが証言するなど真相究明の動きがあり、2007年の遺骨発掘事業で約4900人の遺体を発掘するに至りました。

確認されているだけでこの人数…加盟数が30万人と言われているので、実際はもっと多くの犠牲者が出たのではないか、と思われます。

 

正直、大統領それはないっすよ、というのが正直な感想。

しかもこの保導連盟は共産主義じゃないことを積極的にアピールするためという人もいたと思いますが(それも政府によって思想教育を受けた人が多数いましたが)、共産主義者として処罰されないために入ったという共産主義者の家族や、配給をスムーズにもらえるからという理由で加盟に至っていた市民が大勢いたのです。

 

それを戦争が始まって劣勢だからと一般市民を疑い、虐殺に至るとは…そして遺骨発見が2007年というのも驚くべきというか恐るべきというか…

振り回されて殺され、それだけでは足りずになかったことにされた国民のことを思うと辛いですね。

 

この事件については上にも書いた通りタブー視されていて、韓国内で報道されるなんてことはほとんどありませんでした。

2004年の韓国映画『ブラザーフッド』にて凄惨な処刑シーンが登場したこともあってさらっと調べたことがあり、記事などを読んでショックを受けた事件でした。

 

以前『殺戮の世界史』(マシュー・ホワイト著)を読んだ時に独裁者の共通点として「恐怖心が強い」というのを挙げていたのですが、李承晩大統領のこの事件での行動も恐怖心や不安から起こしたものという点で、やはりこの分析は結構当てはまるな…と思いました。

 

本当に、いつも犠牲になるのは一般市民…。そして戦争は全てを狂わせるものということがよくわかる、そんな事件でした。

 

 

ブラザーフッド (字幕版)

ブラザーフッド (字幕版)

 

 描写的に見るのがしんどいですが、一度観ると色んな事を考えさせられるのでおすすめです…

言葉が通じる人同士の内戦というものの余計な悲しさのようなものも垣間見れるので、一度観ておいてよかったと思える作品です。